核シェルターは意味ない?必要性・強度や不要論についての考察!

北朝鮮の弾道弾実験と核実験が激しさを増す昨今、核攻撃に備えて「核シェルター」の普及を進めるべきだと言う専門家も少なくない。

スイス、イスラエルの普及率が100%に対して、日本の普及率は0.02%である。

日本では核シェルターの整備も進む見込みもないので個人・法人問わず核シェルターを購入するか迷っている人も中にはいるだろう。

そこで、本記事では

  • そもそも本当に核シェルターが必要なのか
  • 核シェルターで何が防げるのか
  • 核シェルター不要論の意見

など核シェルターの必要性・有効性について焦点を当てていきたい。

私は購入を迷っている方は購入すべきと考えているが、本記事で少しでも核シェルターの必要性について理解いただけたら幸いである。

そもそも核シェルターとは?

核シェルターとは核攻撃から身を守るための避難所である。

海外では「fallout shelter」「nuclear bunker」などと表現され、爆風や熱・炎、放射性物質から身を守ることを目的とし、冷戦時代に普及が始まった。

アメリカでは、1954年ごろから「生き残りはあなたの仕事」などという広告が使われ、家庭用の普及も始まったとされている。

NPO法人日本核シェルター協会によると、スイス・イスラエルでは普及率が100%である一方、日本では0.02%の普及率となっており、日本では著しく普及率が低いのが現状である。

核シェルターにも地下埋没型、地上設置型、空気清浄型など複数種類がある。

核シェルターの強度や有効性は?何が防げる?

核シェルターの有効性について考える際に、原爆による直接の被害「一次被ばく」、核爆発に伴う残留放射能による「二次被ばく」の観点から考える。

一次被ばくに関しては、原爆の種類にもよるが、着弾直下にいる場合は核シェルターでも被害を防げないと考えて良いだろう。

アメリカ大手核シェルター会社、アトラス・サバイバル・シェルターの公式サイトにも原爆の着弾直下では恐らく生き残れないと記載されている。

また、そもそも100メガトンの威力を持つ水爆などの攻撃を受けたら、地下奥深くに備えている軍事用の核シェルターでも無事ではないことも触れている。(引用 atlassurvivalshelters.com)

では、どの程度の範囲であれば核シェルターが有効に働くのか。

核シェルターの開発・施工を行っている「織部精機制作所」の製品は、広島型原爆(ウラン原爆)の場合は着弾660mでも内部に損傷はないと保証している。

弊社のシェルターは、広島級の核爆弾が、シェルターから660mの距離に着弾しても、シェルター内部の安全性が保証されています。 引用 織部精機製作所

実際に現代の核攻撃で広島型ウラン原爆が利用されるかは不明だが、少なからず家庭用の核シェルターでもある程度の原爆対策は期待できるだろう。

実際に広島原爆の際にも、爆心地の西南約170メートルの会館の地下室に偶然にもいたことで生き残った方もいる。(引用hiroshimapeacemedia.jp

そして、核爆発に伴う残留放射能による「二次被ばく」に関しても核シェルターは有効に働く。

原爆により広がる放射線は、土、建築物(レンガ)などに放射能を帯びさせる。

仮に原爆の一次被害は免れたとしても、屋外や木造家屋などにいる場合は、間接的な被ばくを受ける可能性が高い。

核シェルターは放射線を遮断する構造になっており、かつ、密閉された空間で、内部の気圧を高め、空気の循環をさせることで放射性物質を遮断させる。

核攻撃による一次被ばく、二次被ばくへの対策として核シェルターが有効であるだろう。

核シェルターが必要である理由

国際情勢の緊迫度が増している

度重なる北朝鮮のミサイル発射や、止まらない中国の核兵器開発、また、インド・パキスタンの深まる対立構造など、国際情勢の緊迫度が増している。

日本の2020年度防衛費も5兆3133億円と、6年連続で過去最高を更新していることからも国際緊張の高まりが伺える。

また、核戦争などによる人類の滅亡を午前0時とし、終末までの時間を示す「世界終末時計」は2020年に過去最高の「100秒前」と発表された。

1947年から始まった科学誌『原子力科学者会報』による「世界終末時計」が2020年に早まった理由の一つが核問題である。

  • 米国によるイラン核合意からの離脱
  • 北朝鮮非核化交渉の停滞
  • 米ロの中距離核戦力(INF)全廃条約の失効

など、2020年に入り核の脅威が高まっている。

特に日本は、北朝鮮からのミサイル攻撃や、米中戦争に巻き込まれる形での中国からの核攻撃などが被害として想定されるだろう。

実際に2017年には北朝鮮の核ミサイル発射や度重なる核実験を受けて、核シェルターを取り扱う織部精機製作所の売り上げが約50倍にもなったそうだ。(引用:日本経済新聞

2020年に入り未だ核実験を繰り返している北朝鮮が核放棄をすることは考えにくい。

ミサイル防衛戦略への不安

アメリカから輸入予定であった、陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備を中止すると2020年6月15日に発表された。

イージスアショアの導入を決定したのは2017年12月だが、2020年に入り結局導入しないこととなった。

アショアは現在2段構えとなっている弾道ミサイルの迎撃態勢を3段構えにし、複数のミサイルが飛来してきた場合に備えた地上配備型の迎撃ミサイルである。

元々、アシュアで北朝鮮のミサイルに対応できるか不安視する声も挙がっていたものの、ここに来て政府が前言撤回をし、アシュアに代わる有効な防衛戦略も未だ発表されていないのが現状である。

しばらくはイージス艦などでミサイル防衛に対応することとなるが、今回のアシュア導入撤回により、核シェルターの必要性がより増したと言えるのではないか。

自然災害対策(地震等)も兼ねる

地下埋没型や地上カプセル型の核シェルターは大地震、トルネードなどの自然災害対策も兼ねている。

2011年の東日本大震災を始め、2016年熊本地震など今までに何度も大規模地震が発生している。

直近30年間で発生した震度6弱以上の大地震は計59回、年平均で2回も大地震が起きている計算となる。

また、台風も直近30年間では減少傾向にあるものの、規模としては大きな台風が目立ってきている。

自然災害で亡くなるおよそ0.3%が日本人を占めると言われているほど、日本は災害の被害が多い。

核攻撃だけでなく、地震・台風など核シェルターは自然災害への対策も兼ねている。

核シェルター不要論について

さて、核シェルターが必要である理由について述べてきたが、不要論者の意見についても述べておこう。

「自分だけ生き残ろうと思わない」

ネット上などでは、

「皆が巻き込まれている中で自分だけ生き残ろうと思わない」
「核攻撃を受けた後の世界を考えたら、生きていてもしょうがない」

という意見が散見された。

自分の家だけが助かればいいの?だいいち自分たちだけ助かったって、いつかはシェルターを出ていかなきゃならない。
そのときにどうするの?
(中略)
たくさんの人が死んだその後に、どうやって生き延びていくんだろう。 引用 よろこびの歌(宮下奈都)

上記は宮下奈都さんの小説「よろこびの歌」で、学校の同級生が核シェルターを家に設置していることを知った主人公が思った感想である。

確かに意見としては納得できる。

ただ、生き残ろうと思ってなくても生き延びてしまった場合のことを考えるとどうだろうか。

広島原爆では被ばくした方の中で、生き残った方が40万人いた。

彼らの中には被ばくによる障害を負って、苦しみながらその後の人生を歩んだ人も少なくない。

被ばくした56万6千人のうち2~4ヵ月で死亡した以外の約40万人の人々は、その後も各々の人生を歩み続けたのです。
その全ての人が健康で幸せに天寿を全うされたという事ではありません。
数年のうちに白血病や癌や様々な放射能による障害に苦しまれた方も沢山おられます。 引用 織部精機制作所

「仮に自分が意図せず生き延びた場合」を考えたら、被ばくの被害を最小限にするために核シェルターの設置を検討する価値はあるとも考えられる。

個々の死生観や価値観にもよるので必要以上に危険性を煽るつもりもないが、核攻撃を受けた場合の対応や備えをどうするか、今一度考えてみることをお勧めする。

ミサイル着弾までに核シェルターに逃げ込む余裕がない

原子核物理学者・豊田利幸氏は「警報からミサイル着弾までが数分以下の場合も考えられるため、核シェルターに駆け込む時間的余裕はない」と自身の著作「新・核戦略批判」にて述べている。

ちなみに現在内閣官房の国民保護ポータルサイトではミサイル発射から日本に着弾する時間は下記の通り述べられている。

北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、日本に飛来する場合、極めて短時間で日本に飛来することが予想されます。
例えば、平成28年2月7日に北朝鮮西岸の東倉里(トンチャンリ)付近から発射された弾道ミサイルは、約10分後に、発射場所から 約1,600km離れた沖縄県先島諸島上空を通過しています。 引用 内閣官房 国民保護ポータルサイト

一例として直近の北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を引き合いに「10分」という数字を出しているが、実際のところ発射から日本への着弾時間は正確には分からない。

例えば、ソ連で開発された中距離弾道ミサイル「SS-20」が仮にウラジオストックから東京に発射されたら約4分で着弾するとも述べられている。(参照:新・核戦略批判 p28)

核保有国の核攻撃技術も進化しており、警報を聞いてから核シェルターに逃げ込む間に被弾する可能性も否めない。

ただそれでも数分間の猶予はあるので、仮に家庭用核シェルターを設置するのであれば、実際の警報時にすぐにシェルターに駆け込めるよう非常時の行動を決めておくべきである。

おわりに

今回は核シェルターの有効性や必要性などについて焦点を当てた。

実際に2017年から北朝鮮のミサイル発射実験を契機に注目を浴び始めている核シェルターだが、まだまだ日本では普及が進んでいない。

興味はあるけど「高い」という理由で購入を控える人も多いのは理解できる。

ただ、昨今の国際情勢を見てみると決して核シェルターが値段よりも価値が低いものには思えない。

空気清浄型であれば200万円代で購入できるものもある。

少しでも核シェルターに興味を持った方は別記事にて日本で購入可能なシェルターなどについてまとめているので参照いただきたい↓

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